施工 Q−17:
焼抜き栓溶接の現場管理はどのようにすればよいのですか?
A: 合成スラブ用デッキプレートの施工管理については、合成スラブ工業会「合成スラブの設計・施工マニュアル」あるいは日本鉄鋼連盟「デッキプレート床構造設計・施工規準-2004」に「焼抜き栓溶接施工結果報告書式例」が掲載されているので利用するとよい。しかしながら、焼抜き栓溶接の具体的な検査方法は、施工管理者に任されておりこれら書籍では特に言及していない。
よって、ここでは焼抜き栓溶接の具体的な検査方法を日本建築学会「鉄骨精度測定指針」-2007に準拠し、提示するので活用されるとよい。
焼抜き栓溶接に関する法律は、通称デッキプレート版告示(告示606号:平成14年国土交通省告示第326号の一部を改正)に規定されており、その内容は以下のとおりである。
  ) 鋼板の厚さを1.6mm以下とすること。
  ) 溶接部に割れ、内部欠陥等の構造耐力上支障のある欠陥のないこと。
  ) 溶接部周辺における鋼板と鉄骨その他の鋼材との隙間を2mm以下とすること。
  ) 溶接部の直径を18mm以上とすること。
  ) 溶接部相互の中心間距離を60cm以下とすること。
  ) 溶接部(端抜けのおそれのない部分を除く。)の縁端距離(当該溶接部の中心から接合する
       鋼材等の縁端部までの距離のうち最短のものをいう。)を20mm以上とすること。
  ) 焼き切れ及び余盛不足のないものとすること。
この告示にも基づき、具体的検査方法をきめることとする。焼抜き栓溶接は、強度を確保する必要のある部材接合工法であり、告示の)と)項の溶接径と溶接外観を検査することが重要であることが分る。
通常寸法検査では、「限界許容差と管理許容差」をもとに検査基準を決めている。溶接径18mmを下回る寸法は、原則許されない限界許容差であることが分る。このことから管理許容差を決めることになるが、現場毎に管理許容差を決めることは妥当である。しかしながら、現場毎に管理許容差を決めるのは煩雑なものとなるので、ここでは合成スラブ工業会で推奨している溶接仕様を決めるときに実施した試験時の寸法測定結果を統計処理し、管理許容差を提示することとする。
これから管理許容差は、20mm以上とすることが必要であることがわかり、品質満足度は95%以上になる。合成スラブ工業会が、径20mm以上の確認に1円玉で確認することを薦めているが、1円玉の外径がちょうど20mmであるからである。合成スラブ工業会が推奨している溶接仕様に従い施工すれば、通常は20mm以上を確保できることが分っている。
統計処理をした焼抜き栓溶接の外径寸法測定の結果は、以下のとおりである。
    ロット数;83箇所
    平均値:20mm
    ±2σ:18mm〜22mm
    標準偏差:1.026
◆限界許容差と管理許容差
  ・限界許容差;法律、規準などで定めた数値――→不良の場合は、再施工または補修
  ・管理許容差;95%が満足するように定めた目標値

次に、検査方法には、「全数検査と抜取検査」があるが、抜取検査にできる場合として、以下の場合を取り上げている。
  a) 抜取検査による費用が全数検査の費用より少ない場合。
  b) 許容品質を満足しない製品がロット内にある程度混在してもよい場合。
  c) 品質特性が安定していてかつ不良率が少ない場合。
焼抜き栓溶接は、以上の要件を満たしていると判断し、抜取検査とするのが妥当と考えられる。抜取検査の方法は、「鉄骨精度測定指針」5章に記載されている「対物検査」の方法で行うのが適切と考えられる。下表は、そのフローと具体的な実施内容である。

表 焼抜き栓溶接の「対物検査」具体的な実施内容
項目フロー 具体的な実施内容 備  考
検査項目を決める。 ・焼抜き栓溶接  
品質基準を決める。 ・管理許容差:20mm以上
  (1円玉以上の径であることを目視で確認する)
・外観検査:
  焼き切れ及び余盛不足のないものとすること。
  溶接部の縁端距離を20mm以上とすること。
限界許容差:18mm以上
ロットを構成する。 ・2ブロック程度(ブロック:柱で囲まれた面積)で、
  ほぼ280個程度
測定箇所数300個以下
で1検査ロットとする。
第1回目のサンプル10個
   をロットの中からランダ
   ムに抜き取る。
・均等間隔あるいは面積になるようにして
  ランダムに抜き取る。
 
ロットの合否を判定する。 ・ 不良箇所:0個 →合格
・ 不良箇所:1個 →第2回目の検査
・ 不良箇所:2個 →ロットを不合格
不合格のときは全数検
査を行い、不良箇所は
補修溶接する。
第2回目のサンプル10個
   を同じロットの中からさ
   らに抜き取る。
・同じロットから第1回目と同じ要領で、
  さらに10個抜き取る。
 
ロットの合否を判定する。 総計20個を対象に、
・ 不良箇所:1個 →合格
・ 不良箇所:2個 →ロットを不合格
不合格のときは全数検
査を行い、不良箇所は
補修溶接する。
記録 検査結果と検査時写真を記録として残す。  

以上


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