振動 Q−01: |
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合成スラブで設計された床の振動数及び応答を算出する場合、合成スラブのみで算出するのか否か、実態に則した設計方法を教えて下さい。 |
A: 鉄骨造の梁に支えられた床は、大梁に囲まれた床組全体が1つの振動系を形成しています。また、問題とされるたわみまたは振動の障害は、小梁の剛性不足によって生じる場合が多いといわれています。デッキ合成スラブを焼抜き栓溶接により小梁に接合した場合、居住性能の評価で対象とする低応力域では、実測例からデッキ合成スラブと小梁は、合成梁として挙動すると見なすことができます。ここでは、日本建築学会「各種合成構造設計指針 第1編合成ばり構造設計指針1985」(付記:最新版『2010』)には規定はありませんが、同指針を参考にして合成ばりとして検討します。
以下に、人間の歩行を加振力とし、床スラブをデッキ合成スラブと小梁で構成される50%不完全合成梁の1質点振動系とみなし、「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説(1999)」付 5 を参照して動的応答を求めます。 |
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合成梁固定荷重 |
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デッキ合成スラブ床自重 |
3,050+135=3,185 |
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床仕上げ、天井等 |
1,000 |
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実状積載荷重(設計荷重の1/3仮定) |
970 |
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5,155 |
N/m2 |
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合成梁は隣接スパンの1/2の床荷重を負担すると仮定します。
W = 5,155×3.0 + 647 = 16,112 N/m → 16,110 N/m
合成小梁は両端支持と仮定します。 |
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静撓み |
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固有振動数 |
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(参考 鉄骨梁のみ 固有振動数 ) |
ばね定数の算出 梁中央に単位荷重 P=1Nを加えた時のたわみをδ0 |
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動的変位振幅の算出 |
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大人一人歩行時の力積値を3kgの質量を5cm高さからの自由落下と等価とし、 |
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とびはね時の力積値を 6×0.297×104 kg・mm/sec 、減衰定数は 0.05、衝撃作用時間は 0.04sec と仮定します。 |
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一人歩行時、 |
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単発振動としての感覚値は 0.6倍します。 |
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δd’=0.6×6.51=3.91μm |
とびはね時、 |
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単発振動としての感覚値は 0.6倍します。 |
δd’=0.6×39.1=23.5μm |
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左図から、事務所の執務室として居住性能は充分と考えられます。
なお、添付資料として振動性状の実測例を載せていますので参照して下さい。 |
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【添付資料 合成スラブの振動実測データ】 |
以 上 |
添付資料 合成スラブの振動実測データ |
建物概要 |
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構造・規模: S、SRC造地上10階建て
用 途 : 事務所 |
床 概 要 |
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振動数の計算
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(1)スラブの振動数の計算 |
EZ50-1.2と普通コンクリート(10p)の合成スラブの現場実験時の振動数を計算する。
合成スラブの断面性能: =25,700 (スーパーEデッキマニュアルから)
対象荷重: =→360 Kg/m2 |
たわみ(連続支持): |
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固有振動数:f= 46.1Hz |
0.177:一端支持他端固定 |
(2)小梁の振動数の計算 |
H-300×150×6.5×9とEZ50及び普通コンクリート(10p)の合成梁の振動数を検討する。
合成梁の有効幅 |
a=2,490-150=2,340< =5,700 |
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ba=0.2× =1,140 |
B=150+2×1,140=2,430o |
合成梁の断面二次モーメント: = |
対象荷重: =360×2.49+36.7=933→940 kg/m2 |
(単純支持と仮定した場合): たわみ:
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固有振動数:f= 12.7Hz |
0.178:両端支持 |
(連続支持と仮定した場合): たわみ: |
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固有振動数:f= 20.0Hz |
0.175:一端支持他端固定 |
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