構造 Q−13: |
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合成スラブとRC梁との取り合い部は固定端となるので、固定端としての捕強筋は必要ありませんか。
又、構造的に単純支持と考えても、現実にはRC梁との取り合いでは、拘束が大きく負曲げが発生します。この時、耐火認定仕様による配筋だけで大丈夫ですか。補足的な上端筋が必要ありませんか。 |
A: デッキ合成スラブは、支持端の実情にかかわらず単純支持縁として設計しますが、 ご指摘のように端部はRC梁と一体となって固定端となります。
しかし、S梁の場合も、合成スラブの床としての連続性を考慮して端部は固定端としての負曲げモーメント(m=W 2/12)でコンクリートの引張応力度を検討することになっており、RC梁の場合も同じ内容の検討をするということで、このことは何もRC梁特有の問題ではありません。 |
・資料-1に示しますように合成スラブの耐火認定仕様におけるRC梁の設計仕様−許容積載荷重5400N/m2、スパン2.7m(溝広50デッキ)、スパン3.4m(溝広75デッキ)−の場合、合成スラブの許容固定端曲げモーメントの値は、梁端に発生する固定端曲げモーメントの1.5倍以上あり、端部の補強筋なしで、充分安全なことがわかります。
・なお参考迄につけ加えますと、RCスラブの設計の場合は、積載荷重と固定荷重を合計した全荷重により生ずる固定端曲げモーメントの値を用いますが、デッキ合成スラブの場合は、コンクリート硬化後に作用する積載荷重(仕上荷重を含む)のみによって固定端曲げモーメントが発生しますので全荷重でなく、積載荷重(仕上荷重を含む)を用います。
・但し、支保工を用いる場合は、デッキ合成スラブでも全荷重を用いて検討します。この場合、計算上許容範囲にあっても、端部捕強筋を用いることを堆奨します。
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・RC梁の場合の固定端曲げモーメントの検討 |
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・S梁の場合の固定端曲げモーメントの検討 |
<資料‐1>
合成スラブのRC梁固定端曲げモーメントの検討結果一覧 |
耐火
指定 |
耐火認定の設計仕様 |
合成スラブの諸元*1 |
許容固定端
曲げモーメント
Ma
(N・m)
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発生固定端
曲げモーメント
m(N・m) |
Ma/m |
普通
コンクリート
(mm) |
デッキ
プレート
溝広タイプ |
許容
スパン
(m) |
積載
荷重
(N/m2) |
断面性能
cZe
(mm3/m) |
床荷重
WB
(N/m2) |
2時間耐火
単純支持 |
95 |
50,1.2 |
2.7 |
5400 |
3550x103 |
3000 |
9336 |
3584(5406) |
2.6
(1.7) |
90 |
75,1.2 |
3.4 |
〃 |
4430 x103 |
3180 |
11650 |
5683(8747) |
2.0
(1.3) |
1時間耐火
単純支持 |
80 |
50,1.2 |
2.7 |
〃 |
2870 x103
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2640 |
7548 |
3584(5188) |
2.1
(1.4) |
80 |
75,1.2 |
3.4 |
〃 |
3940 x103
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2940 |
10362 |
5683(8515) |
1.8
(1.2) |
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備考
・許容固定端曲げモーメント Ma=cZe・ft、ft=0.62√(Fc)=0.62√(18)=2.63 N/mm2
・発生固定端曲げモーメント m=WL・ 2 /12、WL= 5400 + 500= 5900N/m2
・*1 日鐵スーパ−Eデッキの値を用いた。
・( )内は支保工を用いた場合、m=(WL+ WD )・ 2 /12 |
<参考>
・先に述べましたように、デッキ合成スラブは単純支持で解析し、端部負曲げモーメントはコンクリートの許容引張応力度以下ということで設計しますが、構造設計者の設計意図として、固定端曲げモーメントを全て配筋で負担させたい場合は、資料−2に示しますように、2時間耐火(単純支持)仕様の配筋・φ6-100x100又はD10-200x200は所要性能を満足しますが、1時間耐火(単純支持)仕様の配筋・φ6-150x150は断面が不足します。
・その場合は、配筋仕様をD10-200x200にあげるか、梁上のみD10@250を補強する必要があります。
・又、支保工を用いる場合は、いずれも適切な梁上補強筋が必要となります。 |
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・2時間耐火認定の場合は耐火指定の配筋仕様で充分 |
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・1時間耐火認定の場合は、配筋仕様をあげるか、梁上に補強筋を添える。 |
<資料‐2>
配筋で固定端曲げモーメントを負担させる場合の検討結果一覧 |
耐火
指定 |
耐火認定の設計仕様 |
諸元*1 |
許容固定端
曲げモーメント
Ma
(N・m)
|
発生固定端
曲げモーメント
m
(N・m) |
Ma/m 判定 |
普通
コンクリート
(mm) |
デッキ
プレート
溝広タイプ |
許容
スパン
(m) |
配筋
仕様 |
at
mm2/m |
d
mm |
2時間耐火
単純支持 |
95 |
50,1.2 |
2.7 |
φ6-@100 |
282 |
106 |
5231 |
3584 |
1.45 ○ |
D10-@200 |
357 |
100 |
6247 |
〃 |
1.74 ○ |
90 |
75,1.2 |
3.4 |
φ6-@100 |
282 |
126 |
6218 |
5683 |
1.09 ○ |
D10-@200 |
357 |
120 |
7497 |
〃 |
1.31 ○ |
1時間耐火
単純支持 |
80 |
50,1.2 |
2.7 |
φ6-@150 |
187 |
91 |
2977 |
3584 |
0.83 × |
D10-@200 |
357 |
85 |
5310 |
〃 |
1.48 ○ |
80 |
75,1.2 |
3.4 |
φ6-@150 |
187 |
116 |
3796 |
5683 |
0.66 × |
D10-@200 |
357 |
110 |
6872 |
〃 |
1.20 ○ |
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備考
・許容固定端曲げモーメント Ma=at ・ ft ・ j ft=200 N/mm2、 j=7/8・d
・発生固定端曲げモーメント m (支保工を用いない場合の値)
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