構造 Q−12:
焼抜き栓溶接または打込み鋲仕様で、大梁両側にフラッシングを使用する場合、または外周まわりなどの梁で、片側スラブ部分にフラッシングを使用する場合、床の面内せん断力の伝達方法を教えて下さい。
A: 合成デッキの製品幅は、600mmが標準サイズで、300mm幅の役物も製造されています。一方、フラッシングによる隙間調整寸法は、200mmまでと設計・施工規準に規定されています。
200〜300mmまでの範囲内で、質問前半のような納まりが、また質問後半のような納まりは必ず発生します。この様な場合、梁幅をフルに使い、なるべくフラッシングを用いないようデッキ割付けを行います。
それでも質問のような納まりが生じる場合は、「構造Q−6」に述べていますように面内せん断力を伝達することが困難になります。頭付きスタッドまたは床水平ブレースの設置が、施工または工事工程上不可能であることを前提にした処理方法としては、下記のような施工方法が考えられます。
    フラッシングとデッキプレートをアークスポット溶接で接合
    鉄筋によるシェアコネクタ

フラッシングとデッキプレートをアークスポット溶接で接合
この場合の必要強度は、梁とデッキプレートの接合に施す焼抜き栓溶接強度と同等以上になるように溶接ピッチを決めます。
デッキ板厚1.2mmとすると、設計・施工規準から焼抜き栓溶接1個当たりの短期許容せん断力は、7,350N/個です。他方、アークスポット溶接1個当たりの許容せん断力は、使用溶接機の種類に応じて実験により定めると記述されていますが、日本鋼構造協会編「床鋼板構造設計施工規準・同解説」に示されている板厚1.2mmの点溶接強度(短期)に従い、3,080N/個と設定し、ここでは算定します。
焼抜き栓溶接接合では、最大ピッチが600mmと規定されていますが、このピッチに相応するフラッシングとデッキプレートとのアークスポット溶接接合ピッチは、250mm(≦600mm×3,080/7,350)以下が必要になります。
図-1.a
図−1.b                   図−1.b(丸鋼を用いる場合)

鉄筋によるシェアコネクタ
   図−2に示す状態のスタッドジベル耐力は、下式で表せます。
        ---------- 
               :1対の斜め合成鉄筋の許容せん断力
               :鉄筋の許容引張応力度
                :鉄筋の断面積
           :図−2参照、鉄筋の角度

   〔計算例〕
   鉄筋径13(SR235)、と仮定するとスタッドジベル耐力は、式から求めることが
   できます。
   の水平力に対してスタッドジベルの組数は、となり、14ピース以上
   配置します。
図−2
   次に、溶接長さを計算します。のど厚は、とすると、となります。
  
から、
    
    以上から、溶接長さは40mmとします。
ただし、コネクタ用鉄筋は、
  イ)現場溶接が容易なSR235を選定、
  ロ)高い耐力のコネクタを少数配置することは避ける、
  ハ)工場溶接された鉄筋を現場で立て起こすのに便利、
    などを勘案し、9mm〜13mmの径のものを選定することにします。
 鉄筋コネクタの先端には、フックをつけ、コネクタの長さは、フックの根本まで25d(d:鉄筋の径)以上とします。なお、現場で取り付ける場合は、溶接資格のある作業者が、所定の管理のもとで溶接作業を行うことを前提とします。

床スラブに段差がある場合の幅方向納まり例と考え方
デッキレベルが梁天端レベルより高い場合は、必ず6mm以上の熱間形鋼をデッキ受け材として取り付け、焼抜き栓溶接ができるようにします。
デッキレベルが四周とも梁天端レベルより下がる場合は、水平力はコンクリートから直接梁に伝達すると考えられますので、「構造Q−6」に準拠する必要はありません。
通常スラブ段差がつくバルコニー部分の納まり例は「構造Q−2」に示してあります。
   
図−3
以上
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