構造 Q−08:
合成スラブの開口は種々ありますが,どの様に処理すれば良いのですか。
A: 開口部は、位置および数や、建物床の用途、荷重、スパン、コンクリート厚さおよび施工方法(支保工の有無、箱抜き工法等)等個々の条件に合わせて、適切な納まり補強が必要です。
開口部の大きさ別に納まり、補強方法のいくつかを例示しますので参考にして下さい。なお、事務所・店舗等に使用される合成スラブの開口補強を対象とし、フォークリフト等の走行により繰り返し荷重が作用する床や倉庫・工場等のような大きな荷重が作用する床は対象外とします。
また、開口部については次の点にも注意して下さい。
・ 開口部周囲から「火炎」が上階に通らないように開口部周囲には隙間が生じない納まりとして下さい。 
・ 床スラブ貫通孔には所定の耐火被覆を施して下さい。
(1)コンクリート硬化後にデッキプレートを切断し、孔あけ(箱抜き)する場合
1)開口が独立している場合
1−1)開口がφ150mm程度の場合
 (イ)コンクリート打込み時用のデッキプレート補強
       ・補強は不要です。
 (ロ)コンクリート硬化後用の合成スラブの補強
     合成スラブとして補強
        ・補強は不要です。
     コンクリートの補強
        ・開口部の縦横に開口補強筋を配筋して下さい。
               径 c:D10以上
1−2)開口の大きさ幅600mm以下、奥行900mm以下の場合
      ・開口の幅 W:デッキプレートの幅方向の大きさ
      ・開口の奥行L:デッキプレートの長手方向の開口の大きさ
(イ)コンクリート打込み時用のデッキプレートの補強
      ・補強は不要です。
(ロ)コンクリート硬化後用の合成スラブの補強
 合成スラブとしての補強
        開口部に隣接するデッキプレートの溝部に耐力補強筋を配筋して補強して下さい。
        ただし、溝部に耐力補強筋が配筋できない溝瀬間は対象外とします。
  @)耐力補強筋 a
  ・径   ;略算式から算出します。

        ここに、M;開口によって生じる隣接スラブの増加曲げモーメント
  ・配筋位置;開口部に隣接するデッキプレートの溝部
      下端筋だけでなく、上端筋による補強も行って下さい。
      なお、一つの溝に納まらない場合には、隣の溝に配筋して下さい。
  A)配力筋 b
   ・径   ;D13(または2−D10)以上
                (開口補強と兼用)
   ・配筋位置;ひび割れ拡大防止筋の直下
 開口補強 b、c
     開口部の縦横に開口補強筋を配筋して下さい。
   ・径  b;D13(または2−D10)以上
                   (配力筋と兼用)
            c;D10以上


1−3)開口の大きさが幅600mm、奥行900mm程度を超える場合
 (イ)コンクリート打込み時用のデッキプレートの補強
      ・ 補強は不要です。
ただし、次に述べる通り合成スラブの補強としては小梁が必要なので、結果的には小梁でデッキプレートを支持することになります。
(ロ)コンクリート硬化後用の合成スラブの補強


合成スラブとしての補強
小梁を設けて下さい。
なお、小梁を設けた場合、連続支持条件等耐火構造認定による条件に留意して下さい。
開口補強
開口部の縦横に開口補強筋を配筋して下さい。
 ・径   ;D10以上
 ・定着長さ;開口部端部より40d以上
 ・かぶり ;コンクリート露出面から30mm以上

2)開口が連続する場合
2−1)連続する開口がφ150mm程度の小開口の場合
  (イ)開口間の内法寸法が開口径の3倍を超えている場合
       ・ それぞれ独立した単独の開口として扱い、合成スラブとしての補強はとくには必要ありません。ただし、開口補強は行って下さい。

  (ロ) 開口間の内法寸法が開口径の3倍以下の場合
それぞれ独立した単独の開口として扱い、耐力補強筋による補強を行って下さい。
以下のような場合には、次項で述べる開口群(仮想開口)の考え方を適用することも可能です。

       *開口径がφ120mm以下の場合
       *開口間の間隔が狭い場合

連続して3谷以上、耐力補強筋が配筋できないような場合には適用外とします。


2−2)連続する開口の開口群(仮想開口)としての開口の大きさが幅600mm以下、奥行900mm程度以下の場合

・開口群を独立した一つの開口として見なし「1−2)開口の大きさが幅600mm以下、奥行900mm程度以下の場合」に準じて補強を行って下さい。
2−3)連続する開口の開口群(仮想開口)としての開口の大きさが幅600mm、奥行900mm程度を超える場合

・「1−3)開口の大きさが幅600mm、奥行900mm程度を超える場合」に準じて原則として小梁を設けて下さい。

2−4)一つ一つの開口(開口の大きさが幅600mm以下、奥行900mm程度以下)がデッキプレートの幅方向あるいは長手方向において開口幅の3倍以上かつ600mm以上離れている場合

・それぞれ独立した一つの開口と見なし「1−2)開口の大きさが幅600mm以下、奥行900mm程度以下の場合」に準じて補強を行って下さい。ただし、開口がデッキプレート長手方向に連続する場合には、耐力補強筋は全スパン(梁から梁まで)にわたって配筋して下さい。
            P≧3W かつ 600mm以上(W≧W’)
3)開口の位置が不規則な場合
 ・耐力補強筋、配力筋、開口補強等が所定通り配筋できる場合はよいが、定着長さがとれないなど不都合が生じることが多い。したがって、原則として、小梁を設けてデッキプレートを補強し、必要に応じてスラブ構造は合成スラブではなくデッキプレートを床型枠とした鉄筋コンクリートスラブとして下さい。


(2)コンクリートを打込む前にデッキプレートを切断し、孔あけする場合
1)開口が独立している場合
1−1)開口がφ110mm程度の場合
 (イ)コンクリート打込み時用のデッキプレートの補強
  開口部がデッキプレートの上フランジまたは下フランジにあり、ウェブにかからない場合は補強の必要はありません。


  開口部がデッキプレートのウェブにかかる場合はプレートあるいは山形鋼による補強を行って下さい。

注)補強プレートの下面にコンクリートが十分に充填されるように注意して施工して下さい。
(ロ)コンクリート硬化後用の合成スラブの補強
  ・補強の必要はありません。ただし、開口補強は行って下さい。

1−2)開口の大きさが幅600mm、奥行900mm程度以下の場合
(イ)コンクリート打込み時用のデッキプレートの補強
  ・支保工を設けてデッキプレートを支持して下さい。
(ロ)コンクリート硬化後用の合成スラブの補強
  ・「コンクリート硬化後にデッキプレートを切断し、
 孔あけ(箱抜き)する場合」と同じ方法で補強して下さい。


1−3)開口の大きさが幅600mm、奥行900mm程度を超える場合
(イ)コンクリート打込み時用のデッキプレートの補強
  ・小梁を設けてデッキプレートを支持して下さい。
(ロ)コンクリート硬化後用の合成スラブの補強
  ・小梁を設けて下さい。
2)開口が連続する場合
(イ)コンクリート打込み時用のデッキプレートの補強
  ・開口の大きさに関わらず、原則として支保工を設けるか小梁を設けてデッキプレートを支持して下さい。
(ロ)コンクリート硬化後用の合成スラブの補強
  ・「コンクリート硬化後にデッキプレートを切断し、孔あけ(箱抜き)する場合」と同じ方法で補強して下さい。

(3)コンクリート硬化後に合成スラブをコアドリルなどを使って孔あけする場合
  ・合成スラブを貫通する径がφ150mm程度の小開口に限って、その開口間の内法寸法が開口径の3倍を超えている場合は、コンクリート硬化後にコアドリルなどを使って孔あけすることができます。
ただし、合成スラブの谷部を連続して3谷以上孔あけすることは不可とします。
注)平面図では「ひび割れ拡大防止筋」を全て省略しております。



デッキプレート合成スラブ開口補強に関する実験研究論文リスト

長崎大学と日鐵建材工業(株)との共同実験となる開口補強に関する実験研究として以下のような論文が発表されていますのでご参照下さい。

1)日本建築学会関係(論文番号)
 ・大会学術講演梗概集  :21066・’92(北陸)/21007・’93(関東)/21936・’94(東海)
 ・九州支部研究報告   :221・’92(鹿児島)/275・’94(大分)
 ・中国・九州支部研究報告:第9号・’93(広島)
2)日本コンクリート工学協会関係
 ・コンクリート工学年次論文報告集
  デッキプレート合成床スラブの開口補強に関する実験的研究   2133 Vol.14,No.2,’92
  複数開口を有するデッキプレート合成床スラブの耐力と破壊性状 2058 Vol.15,No.2,’93
  不規則に配置された開口を有するデッキプレート床スラブの補強 2071 Vol.16,No.2,’94
3)日本鋼構造協会関係(熊本工業大学、長崎大学、日鐵建材工業(株))
 ・鋼構造年次論文報告集 第1巻 ’93.7
   鋼製薄肉板とコンクリートからなる合成構造の弾性解析
その他
 ・日本建築学会大会学術講演梗概集:21851・’92(北陸)日本鋼管ライトスチール(株)
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