構造 Q−07:
焼抜き栓溶接でデッキを梁に接合している場合に、合成スラブだけで梁の横補剛材とすることができますか。
A: 大梁については、合成スラブだけで横補剛材とすることはできないと考えていますが鉛直荷重のみが作用する小梁については焼抜き栓溶接で接合されていれば横座屈は起こらずfb=ft とすることができると考えられます。
解説:大梁の横補剛材の設計については、「新耐震設計法の実務上の問題と実例」に「塑性設計指針」の規定に基づいた各種計算例が提示されているので参考にできます
通常大梁では鉛直荷重の他に、地震、風荷重の水平荷重時に梁下フランジが圧縮となり、横補剛材はこの下フランジの横移動を拘束する必要があり、特別の横補剛材を設けずに合成スラブのみでこの横移動を拘束するには、スタッドジベルを打設する場合は、軽微な場合としてスティフナーを設けスラブの曲げ剛性に期待した計算例が参考になるが、焼抜き栓溶接のみの場合は、計算例にも「スティフナー部分のスタッドジベルを他の部分の1/2のピッチで設け、別途配筋を追加する」としており無前提に適用はできないと考えられます。また大梁の横補剛材に要求される集中力はσy・A/2と大きく合成スラブのみで横補剛材とすることは困難です。(Aは梁断面積)
鉛直荷重のみが作用する小梁の場合は、圧縮カは上フランジに限定され、焼抜き栓溶接によって連続的に横移動を拘束されており、また床スラブは十分な水平せん断剛性を有するため横座屈は起こらず通常fb=ft とすることができると考えられます。

***************  参考 鋼構造限界状態設計規準(案)・解説  ************************
      3章 終局限界状態設計  3.1.2 横座屈限界耐力
(6) 床スラブやもやが梁上面にあるときは、その横座屈補剛効果は大きく、梁の耐力および変形能力が増加する。いくつかの実験資料および数値解析によれば、よほどの大スパンでない限り、床スラブによって拘束されたはりでは、横座屈による耐力の低下は生じないことが示されている。上フランジの横移動が材の長さ方向に連続的に拘束されたはりでは、鉛直荷重だけが作用している場合には横座屈は起こらないものと考えてよい。鉛直荷重と水平荷重の組み合わせにおいても地震荷重時のように上側フランジが圧縮となる部分が多いときには横座屈は起こりにくくなるが、風荷重によって吹き上げられる場合のように、横補剛されていない下側フランジが圧縮となる部分が多いときには横座屈に対する配慮が必要である。
*******************************************************************************

上フランジを連続的に拘束するための拘束点に要求される耐カの算定式として明記されたものは見られないが「鋼構造設計規準」の横補剛材の設計を参照して、連続して打設された焼抜き栓溶接の拘束力について参考のために計算例を示す。

仮定 小梁 :H‐600-200-11-17、小梁スパン =3000mm、合成デッキ 板厚 l.2mm
   小梁は幅Bの合成スラブごとに拘束される。
   (スラブ幅Bはドイツ規定の集中荷重に対するスラブ有効幅を参照しB=2/3・とする。)
   横補剛スラブ幅 B=(2/3)×3000=2000 < 89000×200×17/(600×156)=3233 mm
   焼抜き栓溶接長期耐カQ=4900N/ケ (デッキプレ−ト床構造設計・施工規準-2004)
               (溶接ピッチ 300 mm)
   スラブ内せん断耐カ R = 4.90×2000/300 = 32.6 kN
   横補剛スラブにかかる集中横力F= 0.02×C = 0.02×747.1 = 14.9 kN
       C =((15.6+14.8)/2)×20×1.7+(14.8/2)×1.1×(30−1.7)
          = 516.8 + 230.3= 747.1 kN       Cは梁圧縮カ
   【R>F】 0K! ∴ fb=ft
▲ページ先頭へ戻る
ページを閉じる