耐火 Q−04:
   合成スラブは無被覆で耐火構造の大臣認定を受けていますが、火災後にそのまま再使用できますか?
A: 合成スラブは無被覆で1時間、2時間の耐火構造の床としての大臣認定を受けていますが、この耐火構造の考え方は、コンクリート裏面温度、火災時の撓みに制限をもうけ、火災時の避難路を確保することであり、このような本格的な火災後の再使用を保証したものではありません。
火災後の再使用ということになると当然、床に変形がないこと、設計荷重に対して構造耐力が確保されていること等が前提と考えられますが、種々の熱履歴下での合成スラブの挙動ということになると系統的な研究はありませんが、再加熱試験下での耐カについては確かめられています。
「参考資料1 合成スラブの耐火実験の概要」
回答に述べたように本格的な火災後の再使用は不可ですが、工事中の小規模火災により部分的に被災することもあり、このような場合にも再使用不可とするのは厳しすぎると考えています。このような短時間で低温の被災とみなされる場合は、明確になっている事項のみに限定して、以下の条件下で、合成スラブの再使用を可能とします。
T) デッキに変形が生じていないこと。局部的な変形が合成スラブ全体の構造耐力にどの程度影響を及ぼすか明確ではないが、安全のため、目視で認められる火災によると思われるデッキの変形は不可とする。
U) 被災温度は200℃以下、火災継続時間は30分以内であること。
1) 参考資料1「合成スラブの耐火実験の概要 14-2 再載荷加熱実験」によれば、所定の 最高温度1000℃、2時間の載荷加熱試験後に、再び同じ載荷加熱試験を施しても、裏面温度、撓みとも安定した耐火性状を示したことより、この条件下では、すくなくとも合成スラブの全体耐力は保持されていると判断した。
2) デッキプレートの降伏応力度、引張強さ、ヤング係数とも200℃以下では、ほぼ常温時の値を保持している。参考資料2「建築鉄骨構造耐火設計施工指針 鋼材の高温での力学的性質」
3) デッキプレート裏面の鋼板の変色でこの条件はほぼ判断でき、また塗膜の密着性も確保されている。 参考資料3 QLプライマー耐熱試験報告書(川鉄建材工業(株)編)参照
4) コンクリートの圧縮強度はこの条件下では低下しない。
参考資料4「小火災時のコンクリート強度」川鉄建材工業(株) 技術資料


参考資料1 「合成スラブの耐火実験の概要 14-2 再載荷加熱実験」
参考資料2 「建築鉄骨構造耐火設計施工指針 鋼材の高温での力学的性質」
参考資料3 「QLプライマー耐熱試験報告書」川鉄建材工業(株) 技術資料
参考資料4 「小火災時のコンクリート強度」川鉄建材工業(株) 技術資料



参考資料1 「耐火被覆のない合成スラブの耐火構造」設計施工マニュアル 鋼材倶楽部
「合成スラブの耐火実験の概要 14-2 再載荷加熱実験」




参考資料2 「建築鉄骨構造耐火設計施工指針」鋼材倶楽部編
鋼材の高温での力学的性質



参考資料3 QLプライマー耐熱試験報告書川鉄建材工業技術資料
[1] QLプライマー耐熱試験

1)目的
 QLデッキが無被覆で1時間、2時間耐火試験で想定される熱履歴を受けた場合は、デッキそのものが変形し再使用は不可能であるが、デッキに耐火被覆が施されている場合、また工事中の小規模で短時間の被災の場合は無被覆でも清掃後には外観上QLプライマーは健全と見える場合がある。
このような場合の再塗装の必要性を判断するためQLプライマーの耐熱試験を計画した。

2)試験方法
 QLデッキを一定温度で30分加熱し、室温に冷却後 JIS-K5400 8.5.2「碁盤目テープ法(1mm)」を行い、100/100で以上がなければ合格とし、再塗装の必要がないものと判断する。

 3)試験結果
加熱温度(℃) 碁盤目試験 変 色 裏面鋼板
変色
再塗装の必要性
100 無し 無し 不要
150 無し 無し 不要
200 無し 有り 不要
250 わずか 有り 必要
300 × 有り 有り 必要
350 × 有り 有り 必要



QLプライマー常温時表面状態


碁盤目テープ試験



[2] 亜鉛めっき鋼板裏面鋼板変色



参考資料4 「小火災時のコンクリート強度」川鉄建材工業 技術資料
小火災時のコンクリート強度
川建 QL99 技術資料
QL99-構-009(1992-10-01)
小火災時のコンクリート強度
資料作成 加 美 宏 樹
  QLデッキの施工現場において、コンクリート打設後に工事中の小規模な火災によって合成スラブが被災し、コンクリートも加熱されることが考えられる。火災が小規模で、短時間であるとの条件下で、合成スラブの再使用の可能性を検討するためコンクリート供試体を電気炉で30分加熱し、室温に冷却後、強度試験を行った。

テストピース圧縮試験結果(試験日:1992年9月18日)
加熱温度(℃) Pmax(ton) Fc(kgf/cm2) aveFc(kgf/cm2)
常  温 18.25
17.20
18.05
232.4
219.0
229.8
227.1
100 17.65
18.00
15.75
224.7
229.2
200.5
218.1
150 16.50
16.90
17.35
210.1
215.2
220.9
215.4
200 17.95
17.45
17.15
228.5
222.2
218.4
223.0
250 16.70
15.70
16.15
212.6
199.9
205.6
206.0
300 15.65
17.00
14.50
199.3
216.5
184.6
200.1
350 16.35
16.55
16.30
208.2
210.7
207.5
208.8
※加熱時間 30分、普通コンクリート円柱供試体(φ100,=200)


試験結果:試験範囲内では、特にコンクリート強度の低下は認められない。
関連資料:「QL99-表-003 QLプライマー耐熱試験」



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