耐久性 Q−01:
   合成スラブデッキプレートの耐久性は、表面処理、使用地域等によって異なると思いますが、地域別の耐用年数の目安と、具体的な推定計算法を提案して下さい。
A: デッキプレートの耐用年数は当然、表面処理の状況、使用地域の大気汚染状態、使用部位等によって異なります。以下に)、)に推定計算法、)に全国地域別の推定耐用年数、)に別文献(鋼製デッキプレートの表面状況調査)を参考にした推定年数の現実的評価を示します。
参考文献 1)「鉄骨造建築物の耐久性向上技術」監修:建設大臣官房技術調査室
2)「建築用軽量鉄骨(防錆法の解説)」鋼材倶楽部
3)「鋼製デッキプレートの表面状況調査」鋼材倶楽部編
)対象とする表面処理は以下の4種類とする。
塗装系
  さび止めペイント(JIS K5621)2回塗り
       各メーカー標準塗装デッキを想定し、現場での出荷時塗装の補修に加えて、
       JIS K5621 1回塗り
  さび止めペイント(JIS K5621)1回塗り+合成樹脂調合ペイント(JIS K5516)上塗り2回
       各メーカー標準塗装デッキを想定し、現場での出荷時塗装の補修に加えて、
       JIS K5516 2回塗り
亜鉛めっき
  Z−12(JlS G3302)めっき付着量 片面  60g/m2
  Z−27(JlS G3302)めっき付着量 片面 138g/m2
)耐用年数推定計算の概要

Y:耐用年数の推定値(年)
塗装の場合はその塗装系が防せい効果を失う年数、
亜鉛めっきにあっては全めっき厚の90%が消耗する年数、
亜鉛めっき鋼板の上へ塗装した場合の耐用年数は、[塗装]と[亜鉛めっき]それぞれの耐用年数の和とする。
Yo:標準耐用年数(年)
さび止め2回塗り(塗料系No. U-1) = 1年
さび止め1回 + 合成樹脂調合ペイント2回塗り(塗料系No. P-1)=3.5年
Z-12亜鉛めっき、めっき付着量 片面  60g/m2 = 4.9年
Z-27亜鉛めっき、めっき付着量 片面 138g/m2 =11.2年
塗料系No.P’-1の耐用年数は引用文献中の塗料系No.P−lに準拠、数値をあてはめた。
D:劣化外力係数
の塗装仕様にあっては、地域条件劣化係数(DR)と環境条件劣化係数(DE)の積とする。
DR:各地域の条件に応じて表7地域条件劣化係数をそのまま採用する。
DE:非汚染地帯劣化係数1.00、汚染地帯劣化係数0.80の2種類。
の亜鉛めっき仕様にあっては、図1のめっき年間腐食減耗量に応じて、4種類(地域環境別劣化係数D=0.28、0.55、1.10,3.66)とする。
B:部位別係数
部位別設計用劣化係数は部位係数(BK)と露出度係数(BX)の積とする。
BK:デッキプレートの使用形態から見て表9部位係数の母屋BK10を採用、 係数0.95一定とする。
BX:露出状祝に応じて表10露出度係数をそのまま採用する。
[露出状況判断指針]
外部露出:合成スラブとして標準設計されることは少ないが、屋外建造物の屋根下地に使われた場合の庇の先端等の常時雨水がかかり、湿潤、乾燥が繰り返される状態に適用する。
半露出:璧を張らない駐車場等の用途に適用する。(垂れ壁あり)
非露出:通常のビル建造物に適用する。
湿潤乾燥の繰返し:通常のビル建造物にあっては水配管、便器等と接するデッキプレートが考えられるが半露出の駐車場はデッキが梁よりハネ出し、先端に垂れ壁がない場合以外は常時乾燥
C:施工管理係数1.0とする(正しい施工が行われること)
M:維持保全係数1.0とする(竣工後の建築物の維持保全が良好であること)
引用文献 耐用年数の予測にあたっては、下記の文献における予測手法を引用した。
  「鉄骨造建築物の耐久性向上技術」 監修:建設大臣官房技術調査室
編:(財)国土開発技術開発センター建築物耐久性向上技術普及委員会
  「建築用軽量鉄骨(−防錆法の解説−)」も参考とした。
また、塗装仕様の記号、予測計算の記号等についても上記文献中の記号をそのまま引用した。
)地域別、環境別の合成スラブ・デッキプレート防錆耐久性の予測

地域1:南九州太平洋、四国太平洋沿岸、近畿太平洋沿岸
地域2:北海道太平洋、日本海沿岸、千葉・神奈川・中部太平洋沿岸、九州
地域3:北海道・根室海峡、オホーツク沿岸、東北太平洋・日本海沿岸
関東・鹿島灘沿岸、 瀬戸内海沿岸、 各湾内沿岸


)「推定年数」と「鋼製デッキプレート表面状況調査」との比較
本文では「鉄骨造建築物の耐久性向上技術」を参照した推定法に基づき、)に種々の条件下での耐用年数推定値を算出したが、添付資料「鋼製デッキプレート表面状況調査」での合成スラブデッキプレート以外のデッキプレートの表面状況観察結果に比べて、本推定値はかなり控えめな値を与えている。
とくに乾燥した部位にあっては「・・・表面状況調査」では塗装系であっても長期にわたり良好な表面状態を保持してる。このことから合成スラブデッキプレートの表面処理仕様について以下の項目を提案する。
1) 通常の事務所ビルにあっては、常時乾燥状態とみなされる部位では塗装系@(錆止めペイント2回塗り)であっても充分な耐久性を保持する。
2) 通常の事務所ビルの結露とか湿潤が繰り返される部位(水道管、便器等と接する部分)は亜鉛メッキが望ましいが、塗装系デッキプレートを採用する場合は当該スパンのデッキにはより高級な塗装仕様とするか、充分な塗装メンテナンスを用意する事が望ましい。
3) 外部に露出し、結露とか湿潤する機会が多い部位(中廊下、渡り廊下、庇軒裏等)は、亜鉛メッキが望ましいが、やむをえず塗装系デッキを採用せざるを得ないときは計画的な塗装メンテナンスが必須である。
4) 亜鉛メッキ(Z−27)デッキプレートであっても、常時、結露、湿潤が考えられる箇所(プール天井等)では亜鉛メッキに別途塗装仕様を加えて検討すべきである。
)耐用年数推定計算
  1.耐用年数の推定方法
  2.標準耐用年数 Y0 の設定
    2.1 塗膜の標準耐用年数

    2.2 亜鉛めっき鋼材の標準耐用年数
算出に当たっては、亜鉛めっきの厚さが、平均90%減少した状態をもって耐用限界に達したものとする。
  3.劣化外力係数Dの設定
      劣化外力係数は、鉄部材表面の防食システムに応じて、以下に示すとおりとする。
    3.1 塗膜の地域別・環境別設計用劣化係数
    3.2 亜鉛めっき鋼材の地域別・環境別設計用劣化係数
    3.3 具体的減耗量が把握できる場合
     近年公害対策が浸透したこともあって、本引用文献に示される腐食量通り観察されるケースは少なくなっている。その地区における亜鉛めっきの年間腐食減耗量が確認されている場合にあっては地域環境別劣化係数は以下の算式による。
  4.部位別劣化係数Bの設定
   合成スラブ・デッキプレートの防せい耐久性予測においては、使用状態から見て部位係数 [BK10 母屋]の数値を採用する。

  5.施工管理係数Cの設定

  6.維持保全係数 M の設定

以 上


<参考資料>  報告書「鋼製デッキプレートの表面状況調査」

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